ユーロ/円相場は、125~127円水準まで軟化している。特にユーロサイドにネガティブな材料は見当たらないが、不安定な株価動向が嫌気されて、円高圧力が継続している。今週は日経平均株価の下げ止まりでやや円売り圧力が強くなり始めているが、戻りを試す動きは限定されている。
これまで特に明確な理由無く日経平均株安・円高というトレンドが形成されてきたが、ここにきてやや落ち着きを取り戻しつつある。「アベノミクス」に対する信認低下は否めない状況にあるが、株安・円高の原因とされた債券市場は落ち着きを取り戻しており、円売りポジションを巻き戻す動きにも一服感が浮上し始めている。未だ株安局面では円が買われ易い地合にあることが否定できないが、国際的にみても株式市場は冷静さを取り戻しつつあり、円高傾向に終止符が打たれる条件が整いつつある。再び円売りを呼び込むハードルは高くなっているが、少なくとも現在の金融政策環境で円が大きく買い進まれる状況にはなく、日経平均株価さえ冷静さを取り戻せば、徐々に円安リスクが高まることになるだろう。
一方のユーロサイドでは、6月6日に開催された欧州中央銀行(ECB)理事会でドラギ総裁が年後半の欧州景気回復に強い自信を示したことが、引き続き注目される。6月18日には独ZEW景況感指数、20日にはユーロ圏製造業交代担当者指数の発表が予定されているが、これらがドラギ総裁の比較的楽観的な見方を支持することになれば、ユーロ相場に対しては支援材料になるだろう。S&Pが13年の欧州経済成長率を-0.5%と予測するなど、欧州経済の先行きは決して楽観的なものではないが、ユーロ圏の財政問題への懸念もやや薄れる中、ユーロ/円は徐々に底固さを試す方向で見ている。
今後1週間の予想レンジは、125.00~128.50円。